2009年10月29日木曜日

株式会社出雲国大社食品

このブログで初めて製造業の会社を取材することになりました。今回は大社町の稲佐の浜を目前に望む、株式会社出雲国大社食品(従業員数25名)にお邪魔しました。はじめに、代表取締役の山崎茂樹社長にお話を伺います。



株式会社出雲国大社食品_外観





今回初めて製造業の取材をさせていただくことになりました。大社食品ではどんな食品を作っていらっしゃいますか。

近海で獲れるその時期その時期の旬の魚を処理加工して、かまぼこやあごの焼きなど、練り製品全般を生産・販売しています。



大社食品の商品写真


  
ペースト状のすり身が見慣れた形に





会社の創業は昭和38年と聞いています。社長は現在何代目ですか。

昭和38年に有限会社として法人化してからは、3代目になります。平成5年に代表取締役に就任しました。




山崎社長



社長がこの会社に入社するまでの経緯を教えてください。

大学では東京の大学に入学し食品生産化学科という科を専攻しました。卒業後はニッスイ(日本水産株式会社)に入社しました。ニッスイでは3年間は蟹工船に乗り、1年はちくわ工場に勤務しました。その後、家業を継ぐため出雲に帰郷し、入社しました。

出雲に戻ってこられて、仕事で印象に残っていることは何ですか。

昭和48年ごろだったかと思いますが、自社ではニッスイとの取引が会社の売り上げの7割(ピーク時)を占めていました。しかし、ニッスイの工場も会社の統廃合で下請けの受注量が減りました。このときは会社にとって大きな転換期でした。

ホームページを拝見すると、地元への販売だけでなく、遠く関東にも商品を販売していらっしゃいますね。どうして県外にも販路を拡大されたんですか。

地元だけの販路では、結局、同業者同士の競争が激しくなり潰し合いになってしまいます。それに、この地元のマーケットが今後拡大するとも思えません。そうなると会社の今後の経営を考えると県外に販路を拡大せざるを得なくなりました。

お得意先の中には、紀ノ国屋、伊勢丹など有名な百貨店などの名前が挙がっています。このようなところへ販路を拡げられたきっかけを教えてください。

10年前だったかと思いますが、島根県が主体となって、地元企業の販路拡大のための県の事業があり、それに自社も加入しているかまぼこ組合が参加しました。この事業ではいろいろなところに営業に行かせてもらいました。

そういった事業は各自治体もいろいろと企画していますが、そう簡単に結果が残せるものではないと聞きます。どうしてうまくいったとお考えですか。やはり品質勝負・価格勝負ですか。

いや、やっぱり「人」ですよ。品質にしたって、うちよりいいもの作る会社は全国にたくさんあります。だけど仕事は人と人との信頼関係が取引の基本です。それがあるからうちもこうして販路を拡大できたんじゃないかと思います。人との「縁」があったということです。

会社の人材について、社員との接し方はどんなことに気を付けていらっしゃいますか。

私は社員とは親子の関係と思って接しています。だからよく叱るし怒りますよ。最近はここまで教えんといかんかと思うことがあります。会社に入るまでに身に付けていて当たり前のことができていないように感じます。

社長が求める人材とはどんな人材ですか。

いろんな要素がありますが、素直な子がいいですね。面接のときに、勉強ができるとか、数学が得意とか、そんなところはあまり見ていません。だって、30分やそこらの時間で本人の適性なんて分かりませんよ。高校を出て仕事の能力なんて大差ありません。そうなると、会社で教えられることを素直に聞ける子が、会社でも成長しているように思います。

社長の息子さんは出雲に帰郷され現在大社食品の幹部としてお勤めですが、地域の地場企業には後継者問題に悩むところが多いと聞きます。どうして事業継承がうまくいかないとお考えですか。

三つ子の魂百までという言葉があるでしょ。あれと一緒ですよ。後継者である子供が小さいときから、家族、特に祖父母が「おまえは大きくなったらここの後を継ぐんだぞ」と言い聞かせる必要があります。そうして過ごして大きくなると、心の底では「帰らないといけない」と思うはずです。今頃は地元の若者がどんどん県外に出るでしょ。あれも一緒ですよ。親や家族やまわりの大人が「帰ってこい」と言えてないから、本人だって帰らなくてもいいかと考えてしまう。

休日はどんな過ごし方をされますか。

趣味はゴルフと読書です。読書は仕事のうえでいろいろとヒントになることが多いですが、人との会話や身の回りの情報や様々なものがヒントになります。今、自分にとって、または会社にとって何が必要か。その視点に立ってアンテナを張っていると、いろいろとヒントが浮かんできます。

最後に今後の目標を教えてください。

大社食品は今後も海の恵みに関するものを手がけていくことしか考えていません。今は海の珍味を商品化することを考えています。


続いては平成20年4月入社の高橋さんにお話を伺います。




平成20年入社の高橋さん



どうしてこの会社に入社されたんですか。入社されるまでの経緯を教えてください。

もともと食べることが好きで、就職も食品関連の仕事をしたいと考えていました。高校卒業後は東京の専門学校に通い、栄養士の資格を取りました。この資格を生かし、地元企業に就職したいと考えていました。

どうして大社食品を志望されたんですか。

品質に対して真剣に取り組んでいる印象と、食材に対する自信が伺え自分の食に対する思いを発揮できると思ったからです。また、大社食品の商品を小さいころから食べていたので、身近に感じていたというのも理由のひとつです。

実際入ってみていかがですか。

予想以上に作業はハードでした。学生時代に体を動かしていたおかげで体力的には大丈夫でしたが、一つ一つの手作業が丁寧さとスピードの両方を求められるので、大変でした。




工場内の様子


学生時代は体を動かしていたとは、どんなことをされていたんですか。

部活でソフトボールをやっていました。中学校から始め、高校進学のときは大好きなソフトボールで日本一になりたくて、全国レベルの高校に行きたいと思い、北海道の高校に進学し3年間寮生活をしながらハードな練習を続けてきました。結果、高校総体では3位入賞、国体では2位入賞を果たしました。

それはすごいですね。ソフトボールを通じて学んだことは何ですか。

チームがひとつになってみんなで戦うことはとても気持ちのいいものです。練習はとてもハードでついていくのがやっとでしたが、そのときの苦しさや厳しさがあるから今があると思っています。

会社ではどんな業務を担当されていますか。


季節によって取り扱う商品も違うのですが、今はレトルト商品でアジのつみれ汁、おでんのダシ汁を担当しています。おでんはちくわや大根など具も担当しています。




仕事中の高橋さん


大変なところはどんなところですか。

毎日同じ品質のものを作ることはとても難しいことです。いつも一定の分量で調味料を配合するのですが、味がいつも一緒になることはありません。そんなときは上司の指導を受けながら品質が一定になるよう調整しています。




工場に入る前は必ず手を洗う


勤務時間は何時からですか。

朝の8時から始まり、夕方4時半に終わります。毎週日曜は休みです。

学生の頃と比べて社会人になって変わったこと、気づいたことは何ですか。

仕事に対する責任の重さが違うこと。あと、親のありがたみです。働いて初めてお金を稼ぐって大変だなあと思いました。親には自分の進路を自由に決めさせてくれて、親が稼いだお金で進学させてもらいました。その時はそこまで考えつかなかったけど、いざ自分が社会人になって働いてみると、その大変さに気付かされました。

今の学生に伝えたいことは何ですか。

アルバイトやボランティアの経験はしておくといいですよ。学生のときしか自由に遊ぶ時間はないかもしれないけど、働くことの大切さをアルバイトなどを通じてしておいてほしいですね。

最後に会社のPRをお願いします。

社員のみんなは熱心で、丁寧に仕事を教えてくれます。一人の力ではなく、周りの人たちと協力し達成することによって得る喜びや満足感は他では味わえない気持ちのいいものです。あと、社長の元気がここのいいところです!

編集後記

今回は初めて製造業の会社を取材しました。女性にとって製造現場は華やかな職場のイメージから遠い存在かもしれません。しかし、今日取材した高橋さんは、この製造の仕事を通じて、お金の大切さ、仕事の大変さ、親のありがたみ、チームワークでひとつのことを作りあげることのやりがいなど、様々なことを学んでいらっしゃる様子でした。今挙げたことは決して製造業種を経験した人だけしか学べないことではありません。しかし就職活動の際に、自分がどんなときにやりがいを持つか、何に対して喜びを見出すかなど自分の心の内にあるものに丁寧に問いかけて、様々な可能性を考えることが、「こんなはずじゃなかった」を防ぐ一つの手段ではないかと思います。
取材終了後社長から「まちゃ(高橋さんのあだ名です)は婿さん募集中だけんよろしく」と言われました。明るく元気な高橋さんに会いたい方は大社食品まで!

株式会社出雲国大社食品
http://www.syokuhin.jp/


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